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9月4日:松方コレクション展に行ってきました [その他]

国立西洋美術館の「松方コレクション展」に行ってきました。
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8月はチョー暑いうえ学生さんも見に来られるのかな?と、9月を待っていたのです。

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今日も暑いですが、チケット売場は結構並んでいます。

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15分待ちです。

でもJRで来たところ、改札手前の構内のチケット売場を発見しました。
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5秒で買えて、展覧会には並ばずに入れました。ラッキー\(^o^)/

これは、会場入口付近に展示されたモネの「睡蓮、柳の反映」です。
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デジタル復元されたものですが、ここだけは写真撮影OK。

8月24日にNHK-BSで放映された「モネ「睡蓮」~よみがえる“奇跡の一枚”」は、大変ためになる面白い番組でした。
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この絵は、実際はこのように下半分しか残っていないのです。

松方のコレクションは第二次世界大戦後、敵国(=日本)の所有物として押収されましたが、多くはフランス政府から返還されたそうです。
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しかしこの絵は、3年前にルーブル博物館の収蔵庫に眠っているのを発見されたというからオドロキです。ルーブルの収蔵庫って、いまだに全部をチェックしてるわけではないのか?

この絵は数奇な経過をたどり、劣悪な保存状態で上半分が破損していたそうなのです。

破損される前に写真とか撮ってなかったのかな~?と思っていましたら、
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昨年、写真の乾版が発見されたそうです。

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モネの多数の作品を参考に、白黒写真から元の色調を復元していったらしいです。

ところが西洋美術館の館長たちから、その結果はダメ出しを喰らいます。
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ただその「理由」というのが素人の自分にはいまいち良くわかりませんが、専門家には感じるものがあるのかもしれません。

どうやら「色や筆のタッチの再現が不十分」と理解しましたが、それでいいのかな?
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そういう面からやり直して、ようやく6月の展覧会に間に合わせたとのことです。

国立西洋美術館の建設そのものが、松方コレクションを日本に返還する際のフランス政府の条件だったことも知り大変有意義だったのですが、
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私は現在の館長( ↑ )を、どうも信用できないのです。

今回の展覧会のキャッチフレーズは、控えめなものです。
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イアフォンガイドの解説も、事実を淡々と述べ好感が持てました。

しかし館長が企画した2017年の「北斎とジャポニスム展」のキャッチフレーズの「モネ、ドガ、セザンヌ・・・、みんなHOKUSAIに学んだ」はアウト!ではないでしょうか。
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ドガが北斎の相撲取りを参考にしたと主張するなら、根拠を示して欲しいものです。

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またモローの絵の背景が左の北斎を参考にしたというなら、根拠を示して欲しいものです。

パリのギュスターヴ・モロー博物館に行って確かめてきましたが、展示されている絵の背景は国立西洋美術館が主張している絵と違っていました。絵は複数あるのでしょう。
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館長らの主張をカラーコピーで説明員に見てもらいましたが、直ちには納得してくれませんでした。

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カサットの少女の絵が北斎のメタボなオッサンの絵を参考にしたと主張するなら、根拠を示して欲しいものです。

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マリー・カサット展が開かれたジャックマール・アンドレ美術館の学術員に館長らの主張のカラーコピーを見てもらいましたが、鼻にもかけない雰囲気でした。

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またギュスターヴ・モロー美術館の解説員(座っている黒い服の人)にもカサットとメタボおっさんのコピーを見てもらったところ、顔色が変わりました(>_<)

館長らは、左のシェレの絵は北斎の足相撲の絵を参考にしたと主張します。
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そうであれば、皆が納得する根拠を示して欲しいものです。

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シェレの絵は題名は「ジラール座」(←青い点線)となっています。しかしこの絵でもっと興味を引くのは右上の「L'horloge Champs Elysées」(←ピンクの点線)ではないかと思います。

「horloge」というのは、「大きな時計台」のことです。
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これは、ルーアンで撮影した有名なhorlogeです。

パリには大時計台はありませんが、フレンチカンカンのラストのお決まりポーズを
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「これぞパリの大時計なり~!」とシュレがシャレているのだと思います。
見ようによっては、女性の手は短針と長針になぞらえているとも読めます。

どうやったら「北斎の足相撲を参考にした」と主張できるのでしょう?
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もしかして、デ・タ・ラ・メということはないのでしょうか?

上野で主張するのではなく、フランス人研究者の前で堂々と主張してもらいたいものです。