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3月13日:関東信越厚生局の適時調査には、何と答えていたのか? [病院]

診療報酬不正請求疑惑を伝えた2014年9月24日の新聞報道以来、神奈川県厚生連は、
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と主張していましたが、実際は報道の1ヶ月前に秘かに加算を取下げていました。

その後、主に身内の構成員からなる「検証委員会」をたちあげ、
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と伊勢原市に報告。

加算Ⅳの要件を充たさなかった理由は「自分たちの申請が不正だった」のではなく、
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と「臨床検査科医の責任である」と主張しました。

これでは2012年12月の「適時調査では何と報告してたんですかね?」という疑問が湧いて当然です。だって、クリアしてたんでしょ? さんざん自慢してましたよね?[猫][犬]

その答えは、病院の文書に残っていました。

「ミスでした」と謝罪し収束を図るのが普通なのに、監督官庁にウソを報告し不正発覚を免(まぬが)れていたことを社会の「きびしい第三者の目」はどう評価するでしょうか?

このような作戦を指揮した者や、それに盲従した者たちの責任は重大です。


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       ◇       ◇       ◇       ◇

以下に、2012年12月12日の関東信越厚生局による適時調査の模様を記録した伊勢原協同病院の内部文書をお示しします。

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                    (それぞれクリックすると大きくなります)


この文書は「アブナイですよ[黒ハート]」と不正請求を認識していた病院が、その発覚を恐れ監督官庁である関東信越厚生局に複数の偽証をした証拠です。

「厚生局の質問」と「病院の回答」をお示ししながら、個々の解説をしてゆきます[猫][犬]

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  S医師は「4Nのとき」( ← 検査科に異動する2012年(平成24年)10月以前)に、
  「外来」も「人間ドック」も行っています。「手術」にも助手として入っており、
  病院の回答は事実と異なっています。

  また「平成24年4~9月まで外科と兼務していた」とありますが、S医師が外科と臨床
  検査科との兼務を元院長から求められたのは「平成22年4月から」( ← 検体検査管
  理加算加算IVの不正申請に名前を使われた時)です。

  この「兼務」とは口答指示であり、そもそも辞令も出ていないものです。元院長から
  「病理の先生がみえるまで」と期限を限定されていたことは、次の病理の先生の赴任
  後からは「会議録のチェックが一切行われなくなった」こととピッタリ附合します。

  平成24年4月には新しい病理の先生が赴任しているので、兼任は終了していたはずで
  す。病院が主張する「兼務していた」のなら、「会議録のチェック」も継続されてい
  なければなりません。しかし実際は中断されており、病院の主張は矛盾しています。

  しかもこの時期に、S医師は外科副部長に任命され辞令も出ています。したがって事
  実上も「平成24年4~9月」の期間は臨床検査科と兼務はしておらず、100%外科の
  業務しか行っていません。病院の言うことは誤りです。

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  病院が偽証した理由は、「平成24年4~9月」にもS医師の名で検体検査管理加算IVを
  請求しており、この期間に「臨床検査科医」が実在しなかったことを隠すためです。


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  別稿でも述べましたが、「毎朝来て、実績等チェックしている」との回答は「S医師
  には検査科医としての勤務実態がなかった」という厚生連の主張と矛盾しています。

  厚生連は不正請求が明らかになる前の適時調査(2012年12月)においては、「S医
  師には臨床検査科医として勤務実態があり、外科医としての勤務はごくわずか。した
  がって加算Ⅳを認めて欲しい」と主張していたのです。これが不正請求報道後には
  (2014年9月)、「S医師には臨床検査科として勤務実態がなく、そのために加算Ⅳ
  を取下げた」と真逆に変貌していったことがわかります。

  「S医師は外科では診療は『何もやっていません』」と病院は回答していますが、検
  査科の業務こそ何もしておらず外科以外の業務の実態はありません。病棟回診、外科
  カンファレンスと内科外科カンファレンス、内視鏡、ほほえみの丘での勤務、手術等
  すべて外科での業務です。主治医として受け持った患者さんもおられます。給与明細
  の所属は「外科」、時間外勤務の申請用紙の所属も「外科」です。
  
    
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  検体検査管理加算IVに関する施設基準には「臨床検査の適正化に関する委員会が設置
  されていること」が求められています。監査官はこれを尋ねているのです。ところ
  が、伊勢原協同病院は平成22年5月から加算を得ているにもかかわらず、この委員会
  の「第1回」が平成24年10月になっているのは奇妙なことです。もし年2回の委員会
  が開かれていたのなら、平成24年10月の委員会は「第5回」であっていいはずです。

  これは、この委員会なしには適時調査はクリアできないと予測した院長が、平成24年
  10月になって初めて委員会を創設(=偽装工作)したからと考えます。だからこそ
 「第5回」ではなく「第1回」なのです。

  当然、それ以前の記録(=伊勢原協同病院が加算IVを取得した平成22年5月から、
 「第1回」委員会が開かれる24年10月までの議事録)のチェックが求められました。

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  病院が示した過去の議事録は、病院が「専ら臨床検査を担当する常勤の医師」として
  届け出ていたS医師が全く出席していないものです。出席できるハズもありません。
  S医師は、この委員会の存在すら知らされていなかったのですから。

  すなわち病院が主張する「臨床検査の適正化に関する委員会」とは、「実際は」検査
  科職員が「(業務に関する)個別のことの相談をした集まり」の記録であり、病院は
  臨床検査科医が出席すらしていなかったこの集まりを「臨床検査の適正化に関する委
  員会」に「代えていた」と判断するのが妥当です。

  すなわち、この期間(平成22年5月~24年10月)において、実質的には「臨床検査の
  適正化に関する委員会」は存在していなかったと考えられます。

  そのことを裏付ける院長の発言の録音をお示しします。これはS医師が初めて「臨床
  検査の適正化に関する委員会」の存在を聞かされた場面で、2012年(平成24年)
  9月24日のことです[猫][犬]


  院 長:法律の条文みたいな書き方で、内容は理解できないかもしれないけど、新旧
    で「新」のほうですね。
  S医師:ふんふん。臨床検査に関する適正化に関する事項?
  院 長:事務長にも言ったんだけど見つかりました。
  S医師:精度管理。委員会ってなんですか、これ?「本委員会」って。
  院 長:「本委員会」っていうのは、年2回委員会を開催するんですね。臨床、こう
    いう「臨床検査の適正化に関する委員会」っていう・・
  S医師:なるほど、なるほど。こういう委員会があるわけなんですね。
  院 長:でそれを、年2回ぐらい開催しているということをうたって・・
  S医師:明文化しているものなんですね?
  院 長:実際はもっとなんか個別のことをやって、それに代えているようなところが
    あるんだけれども・・

  平成24年10月に初めて開催された「臨床検査の適正化に関する委員会」が「第1回」
  になっていることこそ、関東信越厚生局の適時調査が迫りくることを知った院長が、
  不正請求が発覚するのを逃れるために取った「偽装工作」の証拠であると考えます。

  さらに院長は「臨床検査の適正化に関する委員会」取扱基準までも捏造し、病院に存
  在しないはずの「臨床検査科医」を同委員会副院長にすえるなど、あり得ない矛盾に
  満ちた行為をしています。厚生局の適時調査に備え、複数の偽装工作が企図されたと
  考えます。

    →「病院に妖怪が出る( ゚Д゚)」
      http://lone-wolf-dies-hard.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27
     「疑惑の『臨床検査の適正化に関する委員会取扱基準』」
      http://lone-wolf-dies-hard.blog.so-net.ne.jp/2016-06-14


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  S医師は外科のカンファレンス(週に2回、朝と夜)をほとんど欠席をしたことがあり
  ません。確かにカンファレンスの出席を記録した議事録はありませんが、カンファレ
  ンスの記録がないことは多く、当時の外科(および消化器内科)の医師が証言すれ
  ば、病院がS医師がカンファレンスに出席していた事実を隠したことが立証できると
  考えます。

  S医師は日本外科学会および日本消化器外科学会の定める伊勢原協同病院の認定施設
  指導責任者であり(←学会認定証も外科外来に掲示されていました)、外科の業務に
  恒常的に携わっていました。カンファレンスに出席していなければ大変なことです。

このような複数の「くい違い」はミスが偶然重なったものとは考えにくく、確固たる目的をもって「組織的な力が働いた」と考えざるを得ません[猫]

これらの偽証は、2012年9月に前院長が「不正の事実と違法性」を認める発言をした後に行われています。不正を隠そうとした「意図的」な行為と見られて当然で、アウトです[犬]


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【付記】

不正をもくろんだ者たちには、関東信越厚生局よりも前にクリアしなければならない壁がありました。企画情報課長(当時)です。彼は他の誰もが絶大な信頼を置く「歩く施設基準」で、真実を知っていれば申請の不具合を指摘できたはずです。


  元事務部長:彼がある面では、ブレインですよね。ダメなものはこうしないとこれは
     マズイですよってところをちゃんと全部情報くれるんで、それに合わせてこう
     しようって。そんなに彼はブレてなかったと思うんで。検査を含めてすべての
     基準を全部、いっぱい基準取ってますからね。全部いつもチェックを入れて、
     充たないものについてはこうしないといけないと出してると思うんで・・。

おそらく何らかの形で、例えば「S医師は専ら検査科を担当する医師だ」とニセ情報を企画情報課長に流した可能性があるのでは?と思います。であれば「意図的」です。

この書類には、副院長Aの印鑑が押してあります。2013年(平成25年)10月の「臨床検査の適正化に関する委員会」でS医師が検体検査管理加算Ⅳの問題を提起した時に、副院長Aはこれらの偽証を既に認識していたとみられます。

同委員会委員長として、その後の委員会の運営とりわけ厚生連専務と共謀した委員会の「骨抜き化」に、大きな影響を及ぼしていた可能性があると考えています。



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                     ↑ 副院長Aは知っていた!