2月11日:(続)伊勢原協同病院のウソは・・・(2) [病院]
前回お示ししたように、伊勢原協同病院は早くから「S医師が外科医としての勤務実態がない」という奇怪な主張をしていました。その理由は、「外科と臨床検査科との兼任」について関東信越厚生局から「問題なし」との判断を得るためです。
以下にお示しするのは、新聞報道後に神奈川県厚生連が伊勢原市に対して行った説明の一部です。「外科の業務量の実態を調査した結果、『問題なし』とされた」としています。
(クリックすると大きくなります)
このために彼らは、S医師の「外科の業務量」を実際より少なく証言していました。
「外科の勤務実態がない」としなければ、適時調査をパスできなかったと思われます。
これこそが、検体検査管理加算Ⅳに関する適時調査の最重要点でした。
そこでもう一度、原点である「検体検査管理加算Ⅳの施設基準」を読み解きましょう。
↓
(クリックすると大きくなります)
彼らは「S医師が外科と臨床検査科とを『兼務』していた事実を認めざるを得なかった」ために、「S医師の外科の業務量の実態は(ほとんど)ない」と主張することにより、「兼務はしていたが、ほぼ検査科の業務をしていた」としておく必要がありました。
前出の資料「(2)関東信越厚生局適時調査の結果」の青線部分の「外科の業務量の実態を調査した結果」は、そのことを物語っています。
神奈川県厚生連は関東信越厚生局神奈川県事務所との接触で、非公式(または慣習的)に、「専ら」とは「2割程度は別の仕事をしていてもよい」と解釈していた模様です。
確かに「専ら」という言葉には「完全に」とは異なり、「大部分において」というニュアンスがあります。しかし「2割程度は別の『診療』をしていても良い」と公式に記載されているわけではなく、「他の診療等を行っていた場合はこれに該当しない」という規定がある以上は他の「診療」はできないはずです。
そうでなければ、例えば小児科、産婦人科などの医師を「小児科や産婦人科の仕事は2割以下しかしてませんよ~」と説明して「臨床検査科医」と称し、検体検査管理加算Ⅳを申請することがいくらでも可能になってしまいます。
しかもS医師の業務内容は、「2割程度外科の仕事をしていたが、8割は臨床検査科の仕事をしていた」のではなく、検査室に足を踏み入れたこともなく「ほとんど全部が外科で、検査科の業務は月に一度の書類のチェックと押印」というのが実態です。
この点は大変重要で、加算IVを新設した2010年に厚労省がこうした不正な申請(特に「病理医」を「臨床検査科医」として申請すること等)ができないように厳格に規定したものです。以前述べましたように、伊勢原協同病院の不正な申請は加算IVに始まったことではなく加算IIIの時代からこのような手法(=病理医を臨床検査科医として届ける)で加算を取得していたことが、元事務部長(=もとは検査科室長)の話からわかります。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
S医師:そのころ、すが~、じゃなくて〇〇先生が病理で、検査の医師として登録
して、その時にもう検体管理加算のIVっていうのが取れたわけか・・
元事務長:その時、IIIだったんですけどね。
S医師:あ、IIIだったの。IIIでも結構いくんでしょ?
元事務長:そうですね。あの~(指で数字を示す)、ちゃんと、取れましたから。
S医師:そのくらい? なるほど! IVってさ、病理医じゃダメなんだよね?
元事務長:病理はダメです。
S医師:専属の臨床検査医じゃないとダメなんだろ?それでオレがなったんだろ?
すなわち「病院に存在しない臨床検査科医」を「他の医師の名を使って申請する」という伊勢協の検体検査管理加算不正請求の手口は、Ⅲの時代から醸成されていたのです。
これを防ぐために、2010年から厚労省は次のような文面でクギをさしているわけです
これが明文化されずに多額の診療報酬が不正に多くの病院に流れた加算Ⅲ時代と違って、近年は甘くなく、検査科医が他の外来診療を行ったため加算Ⅳを返還した例があります。
(2012年6月28日朝日新聞、クリックすると大きくなります)
もはや元事務部長が不適切な申請で「濡れ手に粟」の加算Ⅲを得、使い道まで要求をしていた時代とは異なり、Ⅳで好き勝手はできません。迷惑を被るのは善良な人々です。不正をもくろんだ人々には、この認識が欠けていたのでしょう。
◇ ◇ ◇ ◇
今までの議論をまとめると、以下のような問題点があることがわかります。
では、どのような偽証を行っていたのでしょうか?
偽証の一例を、病院の内部文書(← 近々、公表予定です)から探ってみましょう。
ここには( ↓ )適時調査の際の厚生局調査官との具体的な問答が記録されています。
調査官は、「S医師が外科の診療をしていないか?」を質問します。
それに対して病院は、次のようにウソを答えています。
「S医師が外科で診療をしていないのか?」と、さらに確認を求める調査官。
病院は、ここでも偽証をしています。
ここで強調したいのは、上述のものはほんの「一例」であることです。
この文書には、このような偽証が他にも複数箇所あることが確認できます。
偽証が一カ所ならばミスとすることも可能ですが、複数あるということは偶然ではなく「組織的な意図」が存在したことを意味すると考えます。病院は、適時調査があることを事前に認識し(∵厚生局から連絡がある)準備を進めていたはずです。複数の偽証があるということは、これを指揮・統括した人物がいたということではないのでしょうか?
適時調査は、「偽証」によりクリアできただけだったのです。
ア・ク・シ・ツです。
そもそも伊勢原市から「公的病院」と認識され財政支援を受けている病院が、厚生局(=厚労省地方支分部局)の調査に「偽証」したと判明すれば、大変マズイことになります。
あとはこれを警察、検察、そして事実を知った関東信越厚生局など「第三者のきびしい目」がどうとらえるのか、また伊勢原市がどう対応するのかが興味があります。
次回は、伊勢原協同病院の回答が「偽証」であった更なる証拠をお示しします。
以下にお示しするのは、新聞報道後に神奈川県厚生連が伊勢原市に対して行った説明の一部です。「外科の業務量の実態を調査した結果、『問題なし』とされた」としています。
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このために彼らは、S医師の「外科の業務量」を実際より少なく証言していました。
「外科の勤務実態がない」としなければ、適時調査をパスできなかったと思われます。
これこそが、検体検査管理加算Ⅳに関する適時調査の最重要点でした。
そこでもう一度、原点である「検体検査管理加算Ⅳの施設基準」を読み解きましょう。
↓
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彼らは「S医師が外科と臨床検査科とを『兼務』していた事実を認めざるを得なかった」ために、「S医師の外科の業務量の実態は(ほとんど)ない」と主張することにより、「兼務はしていたが、ほぼ検査科の業務をしていた」としておく必要がありました。
前出の資料「(2)関東信越厚生局適時調査の結果」の青線部分の「外科の業務量の実態を調査した結果」は、そのことを物語っています。
神奈川県厚生連は関東信越厚生局神奈川県事務所との接触で、非公式(または慣習的)に、「専ら」とは「2割程度は別の仕事をしていてもよい」と解釈していた模様です。
確かに「専ら」という言葉には「完全に」とは異なり、「大部分において」というニュアンスがあります。しかし「2割程度は別の『診療』をしていても良い」と公式に記載されているわけではなく、「他の診療等を行っていた場合はこれに該当しない」という規定がある以上は他の「診療」はできないはずです。
そうでなければ、例えば小児科、産婦人科などの医師を「小児科や産婦人科の仕事は2割以下しかしてませんよ~」と説明して「臨床検査科医」と称し、検体検査管理加算Ⅳを申請することがいくらでも可能になってしまいます。
しかもS医師の業務内容は、「2割程度外科の仕事をしていたが、8割は臨床検査科の仕事をしていた」のではなく、検査室に足を踏み入れたこともなく「ほとんど全部が外科で、検査科の業務は月に一度の書類のチェックと押印」というのが実態です。
この点は大変重要で、加算IVを新設した2010年に厚労省がこうした不正な申請(特に「病理医」を「臨床検査科医」として申請すること等)ができないように厳格に規定したものです。以前述べましたように、伊勢原協同病院の不正な申請は加算IVに始まったことではなく加算IIIの時代からこのような手法(=病理医を臨床検査科医として届ける)で加算を取得していたことが、元事務部長(=もとは検査科室長)の話からわかります。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
S医師:そのころ、すが~、じゃなくて〇〇先生が病理で、検査の医師として登録
して、その時にもう検体管理加算のIVっていうのが取れたわけか・・
元事務長:その時、IIIだったんですけどね。
S医師:あ、IIIだったの。IIIでも結構いくんでしょ?
元事務長:そうですね。あの~(指で数字を示す)、ちゃんと、取れましたから。
S医師:そのくらい? なるほど! IVってさ、病理医じゃダメなんだよね?
元事務長:病理はダメです。
S医師:専属の臨床検査医じゃないとダメなんだろ?それでオレがなったんだろ?
すなわち「病院に存在しない臨床検査科医」を「他の医師の名を使って申請する」という伊勢協の検体検査管理加算不正請求の手口は、Ⅲの時代から醸成されていたのです。
これを防ぐために、2010年から厚労省は次のような文面でクギをさしているわけです
これが明文化されずに多額の診療報酬が不正に多くの病院に流れた加算Ⅲ時代と違って、近年は甘くなく、検査科医が他の外来診療を行ったため加算Ⅳを返還した例があります。
(2012年6月28日朝日新聞、クリックすると大きくなります)
もはや元事務部長が不適切な申請で「濡れ手に粟」の加算Ⅲを得、使い道まで要求をしていた時代とは異なり、Ⅳで好き勝手はできません。迷惑を被るのは善良な人々です。不正をもくろんだ人々には、この認識が欠けていたのでしょう。
◇ ◇ ◇ ◇
今までの議論をまとめると、以下のような問題点があることがわかります。
では、どのような偽証を行っていたのでしょうか?
偽証の一例を、病院の内部文書(← 近々、公表予定です)から探ってみましょう。
ここには( ↓ )適時調査の際の厚生局調査官との具体的な問答が記録されています。
調査官は、「S医師が外科の診療をしていないか?」を質問します。
それに対して病院は、次のようにウソを答えています。
「S医師が外科で診療をしていないのか?」と、さらに確認を求める調査官。
病院は、ここでも偽証をしています。
ここで強調したいのは、上述のものはほんの「一例」であることです。
この文書には、このような偽証が他にも複数箇所あることが確認できます。
偽証が一カ所ならばミスとすることも可能ですが、複数あるということは偶然ではなく「組織的な意図」が存在したことを意味すると考えます。病院は、適時調査があることを事前に認識し(∵厚生局から連絡がある)準備を進めていたはずです。複数の偽証があるということは、これを指揮・統括した人物がいたということではないのでしょうか?
適時調査は、「偽証」によりクリアできただけだったのです。
ア・ク・シ・ツです。
そもそも伊勢原市から「公的病院」と認識され財政支援を受けている病院が、厚生局(=厚労省地方支分部局)の調査に「偽証」したと判明すれば、大変マズイことになります。
あとはこれを警察、検察、そして事実を知った関東信越厚生局など「第三者のきびしい目」がどうとらえるのか、また伊勢原市がどう対応するのかが興味があります。
次回は、伊勢原協同病院の回答が「偽証」であった更なる証拠をお示しします。
2017-02-11 21:21