2月11日:Google Mapでバーチャル散歩:パリのモロー美術館に行ってみよう! [その他]
先日の国立西洋美術館で開かれた「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」展の図譜には、モローの描いたある絵について以下のように書かれています。
「レルネの沼に住むヒュドラを退治する場面に取材した本作では、舞台装置となる岩場の風景に、『北斎漫画』十三編に描かれる須弥山の切り立った断崖を重ねることができよう。こうした奇岩の表象は山水画の伝統に遡るものだが、実際にモローは同書十編の「時頼入道 佐野小趣」の岩山を透写しており(モロー美術館)、北斎を介してのこうした東洋の表現を取り入れた可能性は否定できないだろう」(HH)
ここでも「重ねることができよう」とか「可能性は否定できないだろう」といういつもの表現が用いられ、モローが日本美術に興味を持っていたことを示す事実からの「推測(=「東洋の表現を取り入れた可能性」)」という、信じていいのかそれとも信用ならないのか判断にとまどう根拠が使用されています。
つまり左の北斎漫画にある須弥山の切り立った断崖が、右のモローの絵の背景の岩山に「重ねることができよう」というわけなのです。
たしかに彼ら画家たちは「私は北斎さんから影響を受けました(^_^)」、「この背景は北斎さんからヒントをもらったんですよ~\(^o^)/」とは語らないかもしれません。
したがって「推測」であることをことさら攻撃することは、自由な想像力の展開を手法とする人々にとっては酷かもしれませんが、じゃあ「この主張はいったい何なんだ!」「こんな推論が成り立つのか?」とも言いたくなります。
↓ ↓
「まさに遠近法の消失点の位置にいる跳ねる馬が、(中略)「北斎漫画」の(中略)騎馬を切り取って貼り付けたように見える(HH)」
私がモローのこの絵をみて、まず第一に連想するのはインドネシアやタイ、インドでも見られる複数の頭をもった大蛇「ナーガ」です。
↑ こちらは2014年10月にパリのギメ東洋美術館で見たナーガ。
そもそもブルボン王朝の18世紀の時代に「シノワズリ(chinoiserie)」といって中国趣味の美術様式がありました。また19世紀半ばのナポレオン3世のころにはインドシナ攻略が行われ、東南アジアの美術もフランスは知っています。日本の美術品が幕末のころフランスに流入したことに始まるジャポニスムよりも前のことです。
モローが東洋美術を参考にしたとしても、題材は各種豊富だったはずです。
なのに、何で北斎漫画?
話は全く違うのですが、ヴィーナスが誕生し西風に吹かれて到着した場所と伝えられるキプロスの海岸を思い出しました。
「ヴィーナスの誕生」の背景にソックリなことから描かれたのはこの海岸だという話でしたが、「ボッチチェリはここ来てないでしょ(笑)」の一言で片付きました。
というわけで来月、モロー美術館に行ってみたいと思います。モロー美術館はたくさんのモローの絵を展示していますしこの絵に巡り会えるかわかりませんが、学芸員のような方がいれば聞いてみたいと思っています。この絵の背景の岩山が北斎漫画と関係があるとの主張をどう思うかと。
モロー美術館は、もよりの地下鉄の駅から徒歩で行けるようですね。
外国の街を歩く時は以前はカーナビのGarminを携帯していたのですが、
最近はgoogle mapとデジカメに付属している磁石を使っています。
このときstreet viewを使ったバーチャル散歩をすると大変有用です。
Street viewでは、左にサントリニテ教会、右に地下鉄の出口が見えています。
正面右の白い建物はCrédit du Nordで、この前の通りを右に進みます。
ここまで来たら左折して、あとは真っ直ぐ。
Street viewだと、上り坂になっているのもわかります。
右に見えるのがギュスタフ・モロー美術館ですね。
拡大してみます。
ここで間違いないようです。
「レルネの沼に住むヒュドラを退治する場面に取材した本作では、舞台装置となる岩場の風景に、『北斎漫画』十三編に描かれる須弥山の切り立った断崖を重ねることができよう。こうした奇岩の表象は山水画の伝統に遡るものだが、実際にモローは同書十編の「時頼入道 佐野小趣」の岩山を透写しており(モロー美術館)、北斎を介してのこうした東洋の表現を取り入れた可能性は否定できないだろう」(HH)
ここでも「重ねることができよう」とか「可能性は否定できないだろう」といういつもの表現が用いられ、モローが日本美術に興味を持っていたことを示す事実からの「推測(=「東洋の表現を取り入れた可能性」)」という、信じていいのかそれとも信用ならないのか判断にとまどう根拠が使用されています。
つまり左の北斎漫画にある須弥山の切り立った断崖が、右のモローの絵の背景の岩山に「重ねることができよう」というわけなのです。
たしかに彼ら画家たちは「私は北斎さんから影響を受けました(^_^)」、「この背景は北斎さんからヒントをもらったんですよ~\(^o^)/」とは語らないかもしれません。
したがって「推測」であることをことさら攻撃することは、自由な想像力の展開を手法とする人々にとっては酷かもしれませんが、じゃあ「この主張はいったい何なんだ!」「こんな推論が成り立つのか?」とも言いたくなります。
↓ ↓
「まさに遠近法の消失点の位置にいる跳ねる馬が、(中略)「北斎漫画」の(中略)騎馬を切り取って貼り付けたように見える(HH)」
私がモローのこの絵をみて、まず第一に連想するのはインドネシアやタイ、インドでも見られる複数の頭をもった大蛇「ナーガ」です。
↑ こちらは2014年10月にパリのギメ東洋美術館で見たナーガ。
そもそもブルボン王朝の18世紀の時代に「シノワズリ(chinoiserie)」といって中国趣味の美術様式がありました。また19世紀半ばのナポレオン3世のころにはインドシナ攻略が行われ、東南アジアの美術もフランスは知っています。日本の美術品が幕末のころフランスに流入したことに始まるジャポニスムよりも前のことです。
モローが東洋美術を参考にしたとしても、題材は各種豊富だったはずです。
なのに、何で北斎漫画?
話は全く違うのですが、ヴィーナスが誕生し西風に吹かれて到着した場所と伝えられるキプロスの海岸を思い出しました。
「ヴィーナスの誕生」の背景にソックリなことから描かれたのはこの海岸だという話でしたが、「ボッチチェリはここ来てないでしょ(笑)」の一言で片付きました。
というわけで来月、モロー美術館に行ってみたいと思います。モロー美術館はたくさんのモローの絵を展示していますしこの絵に巡り会えるかわかりませんが、学芸員のような方がいれば聞いてみたいと思っています。この絵の背景の岩山が北斎漫画と関係があるとの主張をどう思うかと。
モロー美術館は、もよりの地下鉄の駅から徒歩で行けるようですね。
外国の街を歩く時は以前はカーナビのGarminを携帯していたのですが、
最近はgoogle mapとデジカメに付属している磁石を使っています。
このときstreet viewを使ったバーチャル散歩をすると大変有用です。
Street viewでは、左にサントリニテ教会、右に地下鉄の出口が見えています。
正面右の白い建物はCrédit du Nordで、この前の通りを右に進みます。
ここまで来たら左折して、あとは真っ直ぐ。
Street viewだと、上り坂になっているのもわかります。
右に見えるのがギュスタフ・モロー美術館ですね。
拡大してみます。
ここで間違いないようです。
2018-02-11 00:03